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トレモロ大好き 5 〜板バネ その参〜

どんなタイプのトレモロユニットのギターであれ、その調整法には方程式のようなものはありません。ギターというものが『木』という均一性のない材で出来ていることも関係しているでしょうが、「ここをこうして、あそこをこうすればどんなギターも完璧..!」みたいな訳には行きません。

もちろん、それぞれのギターのタイプごとに有効と思われる方法はいろいろあって、上手く行けばかなり完璧に近い状態に持って行くことも出来ますが、上手く行ったからと (全く同じモデルの) 別のギターに同じやり方を試みても、良い結果がでないことはままあります。
かと思えば、思いつく限りのあらゆる方法を試しても上手く行かず、「万策尽きたか…」とあきらめかけた頃にほんのちょっとした事で状況が劇的に改善されたなんてこともあるので、結局のところ、いかに根気よくギターと向き合えるかの勝負なんでしょうね。

あとは「妥協点」を決めることも大事かもしれません。過去の体験上、やはり全てのギターが納得のいく状態に調整出来るわけではありませんので。

よくある事例として、チョーキングしたらフラットした→ペグを回してチューニングを直す→アームを使う→今度はシャープしてしまう…というのがありますが、この場合フラットしてもペグで直さずに、アームを1回ダウンorアップすることで戻せるようにしておけば、とりあえず演奏上の大きなトラブルは避けられます。

基準が分からなくなるぐらいチューニングがばらばらになってしまうと、もうどうしようもありませんが、どこがどう狂ってるのか概ね把握出来ていて、素早い動作でリカバリー出来る…あるいはアーミングの使用強度/範囲を大きな狂いが出ない程度にとどめておく、など最低限演奏続行可能な状態をキープ出来ればひとつの妥協点と考えて良いと思います。

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トレモロ大好き 4 〜板バネ その弐〜

一般的なトレモロアーム使用時のチューニングの狂いの原因って何でしょうか?

1)ナット部分での摩擦
(ストリングガイドも含む)

2)アーミング後のアームの位値が元のニュートラル位置に戻り切っていない
(アームダウン時とアームアップ時で戻る位値が違う)

3)ブリッジサドル上の摩擦
(可動ブリッジの場合の位置ずれ)

4) ペグ/ストリングポストの弦の巻き方
(ペグ/ストリングポストのガタつき、弦の巻きたるみ etc…)

5)  使用している弦のゲージ、テンションが適正でない

主立った原因はだいたいこの中のどれか、あるいはその複合的なものである場合がほとんどです。

ただ今回取り上げている板バネ/マエストロ・バイブローラは、そのシンプルすぎる構造が幸いしてか、2) のアーミング後の戻りが悪いケースはなかなか考えづらく、チューニングの問題が起きる場合は、それ以外の1)3)4)5)の各ポイントを検証して行くべきでしょう。

まずは1) のナットです。バイブローラ搭載のギターと言えば、基本的にはギブソンなので、ファイアーバード以外のモデルはヘッドのペグ構成が3対3になっており、ナット上の弦溝に若干角度が付いています。ここでの引っ掛かりというか摩擦で、アーミング時に動いた弦が元に戻りきらずに狂ってしまう….というのが、まずはもっとも多いパターンでしょう。

その対策として僕が昔からよくやっている、もっとも手軽でコスパの良い方法を紹介します。

それはナットの溝を鉛筆の芯で擦るだけです。
2B以上のなるべく黒鉛含有率の多い鉛筆が良いです。
潤滑油など油分を含んだものは埃が溜まったりして、逆効果になることがあるのであまりお薦めしません。
鉛筆で充分です。これだけでかなりナットでの摩擦を軽減することが出来ます。
もちろんナットの溝切りが適正に成されていることが前提ではありますが…。

それから3) のブリッジサドルの溝にも鉛筆を擦り付けます。

過去の自分の体験上、ペグ、ナット、ブリッジなど各パーツおよびギター自体に特に問題がない場合、これだけでほぼOKな状態になるはずですが…。

〜続く〜

Maestro#2_Nut

 

トレモロ大好き 3 〜板バネ その壱〜

今日からタイプ別に踏み込んで書こうと思いましたが、シンクロナイズドとかは書き出すと、もうちょっとやそっとじゃ納まりそうにないので、まず最初は非常にシンプルな作りの板バネトレモロ、マエストロ・バイブローラ・ユニットから行ってみましょうかね。ギブソンのES-345/355、SG、ファイアーバード、フライングVなどに搭載されていたユニットです。

何と言ってもその構造は至ってシンプル! 金属の板を湾曲させた板バネにアームの付いたテールピースがくっついているだけ。大きな長方形っぽいカバーが付いたロングタイプと、カバーなしのショートタイプがありますが、どちらも機能的には一緒。見た目的にはロングタイプの方が、ギブソンのロゴと竪琴の図柄が刻印されていてなんとも豪華な感じ。

アーミングによる音程の可変範囲は決して広くはないですが、アームダウン、アームアップ両方に対応出来て、その気になればクリケット的な音も出せるし、ゆったりしたビブラートもかけやすく、意外と使い勝手は悪くないです。

ただ実際に安定して使えるようにするには、それなりの調整が必要な場合が多いのも事実。しかしバイブローラは他のトレモロユニットに比べ極めて単純な構造のため、ユニット自体には調整などで弄れる部分がほとんどありません。 なので必然的に調整はギターのナットやブリッジ、ペグなどの方でやることになります。

詳しい調整法についてはまた次回…。

 Maestros 2